TMRをミックスするだけでは仕事は終わらない
ミキサーワゴンが普及して、乳牛のエサはTMR(トータル・ミックス)で給与することが多くなった。粗飼料や穀類、たんぱく源の飼料、ミネラルやビタミンなど添加物をすべてミックスして飼槽に給餌すると、乳牛の食べる飼料すべてがバランスされたまま 牛の口に入り、ルーメン内で発酵し、そして消化吸収される。 ミキサーなどを使わずに、熟練によって牛一頭一頭へ、個別に粗飼料を給与し、さらに時間をおいて穀類や添加物を給与して、良い成績を修める農場も多い。「給餌方法は違っても、目的は同じ」、つまり要求に見合った飼料を食べさせ、沢山の乳量を搾るためだ。さて、課題はどちらにも残る。TMRのミキシングは正確に行われたか?、投入量の計量は?ミキシング時間は?それぞれの牛群へ適正な量が配られたか?個別給与でも、それぞれの給与とタイムラグが乳牛の要求にマッチしたか、どうか?一見同じように思われる給餌作業が、牛群の生産性に大きな影響を与えている。
作業の精度が問題
酪農は国内外を問わず、今後もその規模は確実に拡大の方向へ向かう。30年前は30頭規模が中堅であったのに対し、今では100頭規模となり、大型農場は300頭以上、500頭をこえるまでなった。飼料費は頭数に比例して拡大する。これを止めることはできない。そこで、問題となるのが作業の精度である。 TMRは、まずミキサーへ飼料を投入することから始まる。「どうやって計量するか」?「どこまでの精度を要求するか」? 5%?10%?アメリカの農場の調査によるとミキサー作業者による計量の誤差は最大20%もあるという。
精度を追求する上で大切なのは、間違いの犯人さがしよりも「作業の透明性」を求めることだ。「誰がいつ、どこで、何を」これがガラス張りで全スタッフに伝わることが重要だ。飼料費は農場内の経費で最も大きなシェアを占めるので、10%の誤差はとても見逃せない。 データを利用して利益を上げる このロスを最小に食い止め、さらに作業データを、経営の向上に活用するため「新しい計量システム」が開発された。プログラムは「TMR Tracker」(TMRを追跡するプログラム)だ。
これがあればミキサーへ「どのエサが何キロ投入されたか、投入された時間は、設定量は、設定との誤差は、」さらにどの牛舎へ何キロ給餌したのか、残ったエサはどれぐらいあったかなど、計量と時間が自動的に記録され、すべてのデータが残される。この作業を継続すると、搾乳頭数と給与量、一頭あたりの摂取量、コストが記録され、そしてデータの分析が簡単にできる。
牛群管理ソフトと併用すると、「飼料の給与と生産乳量」との関係も明らかになり、また、「飼料の購入と在庫管理」も楽になる。普通、どれぐらいのエサを搾乳群へ、またはドライの牛にと決めていても、発注日や在庫が月をまたぐため、今月、あるいは今日消費した、それぞれの品目の使用量、総コストをつかめないのが現状だ。「頭数の増減」もあり「摂取量の変化」があるばなおさらである。
TMR Trackerによって飼料の管理が行われると、毎日、毎月の使用量も、そのコストも一瞬ですべて明らかになる。 「TMR追跡プログラム」は、TMR以外で消費される量も、在庫経過で目減りする量も自動的に修正する。また登録された作業者のなかで誰がもっとも正確な給餌作業をするかも計算する。データは毎日、毎時記録され、過去の成績をいつでもチェックすることができるので、TMRの作業対策を決めやすい。

